青葉区の整体なら「ネイチャーボディ鍼灸整体院」

著者:ネイチャーボディ鍼灸整体院 代表 山﨑由浩

薬を飲んでも胃の不調が続く——そんなあなたへ

「胃もたれや胸やけが続いて胃腸科を受診した」「胃カメラを撮っても炎症はなく、ピロリ菌も陰性、あるいは除菌も済んでいる」「それなのに胃薬を飲み続けても、なかなかスッキリしない」——このページにたどり着いた方の多くは、そんな状況ではないでしょうか。

次のような場面に、心当たりはありませんか。

  • 朝、通勤電車の中でみぞおちのあたりが重く、朝食を抜いてきたことを少し後悔している
  • 会社の飲み会で、周りが揚げ物やお酒を頼む中、自分だけ「お茶でいいです」と言って愛想笑いしている
  • 夕食後、そろそろ横になりたいのに「横になったら胃が気持ち悪くなる」と葛藤している
  • 寝る前にベッドに入った瞬間、胸のあたりがムカムカして「また今日も眠りが浅そうだ」とため息をつく
  • 病院の待合室で「今日も『異常なし』で終わるんだろうな」と思いながら、スマホをいじって時間をつぶしている

このどれかにうなずいた方に、この記事は書いています。

病院で「異常なし」「機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)ですね」と言われると、行き場のない気持ちになります。検査で問題が見つからないのに症状はある。周囲には「気のせい」「ストレスでしょう」と片づけられ、食事が楽しめない、外食が不安、仕事に集中できない、といった日々のつらさをわかってもらえない。この「理解されにくさ」こそ、機能性ディスペプシアの大きな負担のひとつです。

ネイチャーボディ鍼灸整体院にも、「胃薬を飲んでいてもよくならない」「西洋医学以外の選択肢を探している」という方が多くご相談にいらっしゃいます。この記事では、機能性ディスペプシアに整体・鍼灸という手段が役立つ場面と、逆に医療に委ねるべき場面を、正直に切り分けてお伝えします。同時に、私がこの症状を前にしたとき「どこを、どの順番で診ているのか」という臨床の中身と、この10年ほどで大きく変わった研究の動向まで、できるだけ具体的にお話しします。

先に立場をはっきりさせておきます。整体・鍼灸は医療の代わりではありません。医師の診断があってこそ、その先の選択肢として安心して活用できるものです。この順番だけは、記事の最後まで一貫して守ります。

「胃炎」「機能性ディスペプシア」——実は2つの車線に分かれている

全身のつながりを診る施術

この記事の心臓部に入ります。まず、多くの方が混乱している一番大事な整理から始めます。

「慢性胃炎ですね」「機能性ディスペプシアです」と言われた方は、中身のまったく違う2つの車線に分かれます。ここを混ぜて考えると、いつまでも話がかみ合いません。

車線A:検査で説明のつく所見がある場合

萎縮性胃炎、腸上皮化生、ピロリ菌陽性——こうした所見が胃カメラや検査ではっきり確認できる状態です。これは器質的な変化があるということで、医療の本筋の領域です。ピロリ菌の除菌、内視鏡での定期的な経過観察が中心になります。萎縮性胃炎や腸上皮化生は胃がんのリスク因子でもあるので、ここは医師にきちんと診てもらう必があります。整体や鍼灸が代わりを務めることはできません。

車線B:所見がない、または軽微なのに症状が続く場合

胃カメラで説明のつく所見が見つからない。あるいは軽い炎症はあっても、それが症状の重さと対応していない。ピロリ菌も陰性、または除菌したのに不調が残る。——これが、国際的には「機能性ディスペプシア(FD)」と呼ばれる層です。以前は「神経性胃炎」「ストレス性胃炎」と呼ばれていたものに近い概念です。

そして重要なのは、この車線Bの人が、実はものすごくたくさんいるということです。私自身、臨床21年の中で「原因のない慢性胃炎」と言われて来られる方に、本当に数多くお会いしてきました。

これは私の実感だけの話ではありません。40カ国・44の研究・約25万7千人を集めたメタアナリシス(複数の研究を統合した分析)では、機能性ディスペプシアの世界の有病率は8.4%、つまり10人に1人弱と報告されています。しかも女性のほうが高い傾向(女性9.0%・男性7.0%)があります。決して珍しい状態ではなく、日本ではその多くが「慢性胃炎」というラベルで呼ばれているのです。

なぜ「胃炎があるのに、施術しても良くならない」人が生まれるのか

ここが、一般にほとんど知られていない事実です。

胃の検査で見える炎症の程度と、実際に感じる症状は、必ずしも対応しません。

古くは1989年の研究(Scand J Gastroenterol)で、胃や十二指腸の粘膜の炎症所見とディスペプシア症状が対応しないことが指摘されていました。そして2015年に発表された「京都グローバルコンセンサス」という国際的な合意文書は、まさにこの点を主題のひとつに掲げ、ピロリ菌による胃炎に伴う症状と、機能性ディスペプシアとを臨床的に区別するという枠組みを打ち出しました。国際基準では「胃炎があるから胃が痛い」という説明はそのままでは成立しない、という考え方が標準になっているのです。

つまり、「検査で胃炎と言われたのに、治療しても症状が良くならない」という人が生まれるのには、構造的な理由があるのです。あなたの気のせいでも、あなたが大げさなのでもありません。所見と症状がずれる層が確かに存在し、それが車線Bなのです。

ここまで読んで「たぶん自分は車線Bだ」と感じた方も、順番だけは守ってください。まず胃カメラとピロリ菌の検査を受け、車線Aの病気がないことを確認する。そのうえで、検査では説明がつかない不調が残る——そこからが、整体や鍼灸の出番です。

胃が「動いていない」とはどういうことか——解剖から掘り下げる

車線Bの機能性ディスペプシアは、「胃という臓器そのものが壊れているわけではないのに、うまく働いていない」状態です。私はこれを「病理」ではなく「機能障害」と呼んで区別しています。組織は壊れていないが、本来の動き・働きが十分にできていない——この視点が、整体で胃の不調を診るうえでの土台です。

では、胃がうまく働かないとは具体的にどういうことか。名前を出しながら、段階を追って掘っていきます。

① 胃の「受け入れ」がうまくいかない(適応性弛緩の低下)

食べ物が入ってくると、健康な胃は上部(胃底部)がふわっとふくらんで、内容物を受け止めます。これを「適応性弛緩(てきおうせいしかん)」と呼びます。このふくらみがうまく働かないと、少し食べただけで胃の内圧が上がり、「もう満腹だ」という感覚が早く出てしまいます。機能性ディスペプシアの方に多い「早期満腹感(少し食べただけで満腹になる)」は、この機能の低下が背景にあると考えられています。

② 胃から腸へ送り出す動きが弱い(胃排出の遅延)

胃は入り口(噴門)から出口(幽門)へ向かって、筋肉の波(蠕動運動)で内容物を少しずつ腸へ送ります。この送り出しが遅れると、食べ物が胃に長くとどまり、「食後の胃もたれ」「膨満感」につながります。夕食後にソファでムカムカする感覚、朝起きたときの重さ——こうした場面の背景に、この排出の遅れがあることがあります。

③ ちょっとした刺激を強く感じてしまう(内臓知覚過敏)

通常なら気にならない程度の胃の張りや、わずかな胃酸を、強い不快感として感じてしまう状態です。センサーの感度が上がりすぎているイメージです。「みぞおちの痛み」「胸やけ」が、検査で異常がないのに続くとき、この知覚過敏が関わっていることがあります。

④ すべてを束ねている自律神経と迷走神経

ここが、整体・鍼灸で最も着目する部分です。

①〜③の胃の動きと感覚は、すべて自律神経がコントロールしています。中でも重要なのが迷走神経という、脳から内臓へ長く伸びる神経です。この迷走神経が、胃の動きにリラックスの指令を送っています。ところが、緊張が続いて交感神経が優位な状態が長引くと、この指令がうまく届かなくなります。

私は動画でもお話ししていますが、自律神経の乱れがある方は「呼吸が非常に浅くなっている」ことが多く、背中の上のほう、胸の前、お腹のあたりまで硬さが出る傾向があります。胃の動きは自律神経の症状のひとつで、「食べるともたれる」「油ものが苦手」といった訴えは、この自律神経の状態と地続きなのです。

⑤ 胃を包む膜(ファシア)と、その裏側の神経の束

もう一段、解剖を掘ります。胃は、それ単体でぶら下がっているのではありません。上には横隔膜(呼吸を担う大きな筋肉の膜)、横には肝臓とそれを包む膜、そして胃の裏側には太陽神経叢(たいようしんけいそう)という自律神経の束が広がっています。太陽神経叢は「腹腔神経叢」とも呼ばれ、内臓の働きを調整する自律神経の中継地点です。

これらの内臓や臓器は、ファシア(筋膜・内臓を包む膜の総称)でつながっています。呼吸のたびに横隔膜が上下し、その動きが胃にも伝わって、胃は本来「揺らされて」動いています。ところが横隔膜が硬くなり、胃を包むファシアがこわばると、この動きが失われます。胃が「揺らされない」状態になると、蠕動運動も自律神経の伝わり方も鈍りやすくなる——これが、私が整体で胃を診るときの中心的な着眼点です。

お気づきかもしれませんが、①〜⑤は単独では起きません。呼吸が浅くなる→横隔膜が硬くなる→胃を包む膜がこわばる→胃の動きが鈍る→もたれる→さらに緊張する、という連鎖でからみ合っています。「これが原因です」と一つに言い切れないのは、そのためです。だからこそ、胃薬という一つのアプローチだけでは症状が動きにくいことがあるのです。

私が臨床で診ているポイント——胃だけを診ない

ここからは、私、山﨑由浩がネイチャーボディ鍼灸整体院で機能性ディスペプシアの方を前にしたとき、実際にどこを、どの順番で診ているのかをお話しします。あくまで一つの臨床的な視点であり、医学的な原因を断定するものではありません。

まず「痛い場所(胃)」だけを診ない

私が最も大切にしているのは、症状の出ている場所だけを診ないという姿勢です。症状は”結果”であって、それを生んでいる背景が別の場所にあることが少なくない——これは胃に限らず、ネイチャーボディ鍼灸整体院の全身を診る考え方の根っこにあります。

わかりやすい例をお話しします。以前、膝の痛みで来院された方がいらっしゃいました。カウンセリングと検査の中で、私は左肩の状態を確認して「胃や食道は、悪かったりしますか?」とうかがいました。すると、その方は5年間、胃炎と食道炎に悩まされていたのです。膝の痛みは背中から来ていて、背中の張りは胃や食道から来ている——そう見立てて両方を施術していったところ、膝も、胃の不調も併せて変化していきました。体はさまざまな場所でつながっている、ということを私自身が改めて教わったケースです。

こうした経験があるので、胃の不調を診るときも、私は胃そのものだけでなく、背中の張りや硬さ、姿勢、呼吸の深さ、そして日々のストレスや食事の傾向まで、幅広く確認していきます。整体としての検査は、痛みのある一点ではなく、体全体のつながりを見るために行います。

胃を包む膜(ファシア)の状態を、触れて確かめる

胃は体表からも比較的わかりやすい位置にあります。私は、胃を包んでいるファシアの状態を、実際に触れて確認します。臨床上、この膜が硬くなって縮こまっているように感じられる方が、本当に少なくありません。膜がこわばっている状態では、内臓が本来のようには動きにくいと考えています。

そのうえで、胃と隣り合う構造——上面の横隔膜、側面の肝臓と肝臓を包む膜、深部にある太陽神経叢、そして胸椎から胸腰移行部・腰椎・肋骨といった骨格まで、整体の検査で一つずつ状態を確かめます。どこに機能的な問題があるかは人によって違うので、検査で見つかった部分に対して、必要な施術を組み立てていきます。

背中・呼吸・自律神経を「胃とセット」で診る

胃腸の不調がある方は、背中の上〜真ん中あたりの張り、呼吸の浅さ、胸やお腹の前面のこわばりが見られることがあります。胃腸の動きは自律神経が調整しているため、緊張が続いて交感神経が優位な状態が長引くと、胃の動きも影響を受けやすい。だから私は、背骨の動き・姿勢・呼吸の状態を確認しながら、体がリラックスしやすい状態に整えることを一つの目的にしています。

これらはいずれも「必ず胃の症状の原因」と断定するものではなく、確認していく着眼点として捉えてください。ネイチャーボディ鍼灸整体院の施術は、バキバキ・ボキボキと鳴らすような強い刺激ではなく、やさしくファシアをゆるめ、呼吸を深めていく整体を基本にしています。胃そのものを強く押したり揉んだりすることは、かえって刺激になるため行いません。

私がフランスで学んでいる理由

こうした「内臓を含めて体全体のつながりを診る」という考え方は、オステオパシー(内臓や関節の動き・位置関係に着目する、欧州で確立した国際基準の徒手療法)の視点に多くを負っています。私は現在も、フランスの専門学校でこのオステオパシーの課程を学び続けています。

正直に申し上げると、内臓を適切に扱える徒手療法の施術者は、日本にはまだ多くありません。胃の不調を「機能の問題」として整体で診られる場所を探しても、患者さんがどこへ行けばいいか分からない——それが今の日本の現状です。だからこそ私は、21年臨床をやってきた今も、わざわざフランスまで学びに行っています。この点は後ほど、もう少し詳しくお話しします。

なぜ、他ではよくならなかったのか

「胃薬を飲んでいるのに変わらない」「マッサージ店でお腹をほぐしてもらったけれど、そのときだけだった」——こうした声を、私は数え切れないほどうかがってきました。なぜよくならなかったのか、理由を掘り下げます。

理由1:胃薬は「症状を抑える」もので、「動きを取り戻す」ものではない

はっきりさせておきますが、私は胃薬を否定しません。胃酸を抑える薬は、つらい症状をやわらげるために必要なものです。ただ、車線Bの機能性ディスペプシアの中心にあるのは「胃の動きの鈍さ」や「知覚の過敏さ」であって、胃酸だけの問題ではありません。動きや神経の伝わり方そのものに機能的な問題がある場合、酸を抑える薬だけでは症状が動きにくいことがあります。病院で炎症もピロリ菌も確認できなければ、投薬という対応が中心になりますが、「正しく機能していないこと」に対する直接のアプローチは、そこには含まれにくいのです。

理由2:「胃だけ」をほぐしても、背景が変わらない

リラクゼーション目的でお腹をほぐすこと自体には、心地よさという意味があります。ただ、機能性ディスペプシアの背景には、横隔膜の硬さ・背中の張り・呼吸の浅さ・自律神経の偏りといった、胃から離れた場所の問題がからんでいることが多い。胃だけを触っても、その背景が変わらなければ、同じ状態に戻ってきやすいのです。ネイチャーボディ鍼灸整体院の整体が胃だけを診ないのは、まさにこの理由からです。

理由3:施術者が「学び続けているか」で、診られる範囲が変わる

ここは、私が声を大にして言いたいことです。

日本には、検査で異常が出ないまま長く不調を抱え、行き場をなくしている方が本当にたくさんいます。その背景のひとつに、施術者が学び続けていないという問題があると、私は感じています。内臓を機能的に診る技術は、一度資格を取ったら終わり、という性質のものではありません。医学の評価も、施術の技術も、日々更新されていきます。臨床に立ち続けるなら、学び続けるのはマストです。

私が21年やってきた今もフランスに通っているのは、日本の徒手療法が国際基準にまだ追いついていないと考えているからです。特定の誰かを批判するつもりはありません。ただ、あなたが施術者を選ぶときには、どこで・どれだけ学んできた人なのかを確認していただきたいと、心から思っています。

施術者選びで確認してほしいこと

少し実務的な話をします。日本では、整体・オステオパシー・カイロプラクティックに、法的な国家資格の制度がありません。つまり、学校で体系的に学んでいなくても「オステオパシー」を名乗れてしまうのが実情です。だからこそ、施術者を選ぶときは「どこで、どれだけ学んだのか」をご自身で確認していただきたいのです。

私自身は、はり師・きゅう師という鍼灸師の国家資格を土台に持ち、臨床歴21年・延べ16万回の施術を積み重ね、そのうえで今フランスの専門学校でオステオパシーの課程を学んでいる、という段階です。国家資格という土台の上に、経験と、国際基準の学びを積み上げていく——この順番を、私は大切にしています。

研究では、鍼灸と機能性ディスペプシアはどう報告されているか

体の状態を確認する

ここで、私の臨床の見立てを、研究の裏づけと照らし合わせてみます。エビデンスが主役になって私の視点が消えては本末転倒ですが、「私はこう診ている→研究でもこう報告されている」という順で読んでいただくと、判断の材料になると思います。

実は、消化器の症状の中で、機能性ディスペプシアに対する鍼灸は、最もエビデンスの状況が良い部類に入ります。ここは自信を持ってお伝えできます。

12年で、評価がひっくり返った

面白い経緯があります。2014年に発表されたコクラン・レビュー(信頼性の高い系統的レビューの代表格)の時点では、機能性ディスペプシアに対する鍼灸は「有効か安全かは不明」「エビデンスは低〜非常に低質」とされていました。当時は7つの試験・542名しか集まっていなかったのです。

ところが、同じ研究チームが12年後の2026年に発表した更新版のメタアナリシスでは、試験の数が23試験・2,454名と3倍以上に増え、評価が大きく変わりました。この更新版では、経穴(ツボ)を外した”偽の鍼”と比較しても、症状と生活の質(QOL)を「中〜高の確実性」で改善すると報告されています。数値でいうと、症状スコアも生活の質のスコアも、偽の鍼を有意に上回りました。しかも、有害事象(副作用)の増加は認められませんでした。

さらにこの分析では、胃の動きをよくする薬(消化管運動改善薬)と比較しても、生活の質の改善が報告されています。無施術や通常のケアと比べても、症状の改善が示されました。

私がこの経緯を大切にお伝えするのは、医学の評価は動く、という事実そのものが大事だと思うからです。2014年に「不明」とされたものが、研究の積み重ねで評価が変わった。だから私は、一度学んだことに安住せず、学び続けています。

なぜ効くと考えられているのか(機序の研究)

研究では、鍼灸が胃排出運動を改善する・胃の適応性(ふくらみ)を高める・消化管ホルモンを調整する・自律神経(迷走神経)を調整する、といった働きが機序として挙げられています。近年は脳の働きを画像で調べる研究も進んでいます。

機能性の胃腸障害全体を対象にした2021年のメタアナリシス(61試験)でも、鍼灸は薬物療法よりわずかに優位(反応率が約1割高い)、偽の鍼よりも優位で、有害事象はむしろ鍼灸のほうが少ないと報告されています。自律神経経路という機序については、耳への経皮的な迷走神経刺激の研究など、別ルートからの裏づけも出てきています。

正直にお伝えする限界

良い話ばかりでは公平ではありません。これらの研究の多くは中国語圏で行われたもので、出版バイアス(良い結果が出た研究が発表されやすい偏り)の懸念は残ります。偽の鍼のデザインも研究によってばらつきがあります。ですから私は「治る」とは言いません。あくまで「改善が報告されている」という水準で受け取っていただくのが誠実だと考えています。

整体(徒手療法)についての注意点

一方で、内臓に対する整体・徒手療法そのものについては、機能性ディスペプシアを対象にした大規模な系統的レビューはまだ十分ではありません。私が整体で行っている横隔膜や背骨、ファシアへのアプローチは、自律神経の状態や胃の動きを整えることを目的にした、臨床経験に基づく取り組みです。鍼灸のエビデンスがそのまま整体に当てはまるわけではない、という点は正直にお伝えしておきます。だからこそ、ネイチャーボディ鍼灸整体院では、国際基準の徒手療法(オステオパシー)と、エビデンスの積み上がってきた鍼灸を、その方の状態に合わせて組み合わせています。「世界基準の徒手療法 × 日本が世界に誇る鍼灸」——これが私の軸です。

自宅でできる、安全な対処

施術と並行して、ご自身でできる負担の少ないケアをお伝えします。無理のない範囲で、続けられるものから取り入れてください。整体に通う・通わないにかかわらず、日常の土台になる部分です。

食事の「量」と「速さ」を見直す

一度に詰め込まず、腹八分目・よく噛んでゆっくり食べる。機能性ディスペプシアの方は、前述した適応性弛緩の低下から少量でも満腹を感じやすいので、1回の量を減らして回数を分けるのも一つの方法です。早食い・過食は胃の負担を大きくします。

胃に負担をかけやすいものは、量とタイミングで調整する

脂っこいもの・刺激物・アルコール・カフェインは胃の負担になりやすいとされています。全部やめる必要はありません。まずは量とタイミングの調整から。特に、就寝の2〜3時間前までに食事を終えると、寝ている間の胃の負担が減りやすくなります。「夜、横になると気持ち悪い」という方は、まずここを試してみてください。

ゆっくりした腹式呼吸で、横隔膜を動かす

これは、私が解剖の章でお話しした「横隔膜と胃のつながり」に直接効く、大切なセルフケアです。息を吐くことをゆっくり意識した腹式呼吸を、1日数分。吐くときに、お腹がへこんでいくのを感じてください。ゆっくり吐く呼吸は副交感神経(リラックスの神経)が働きやすくなり、硬くなりがちな横隔膜を動かす助けになると考えられます。胃を「揺らす」動きを、呼吸で少しずつ取り戻すイメージです。

お腹・背中を冷やさない

湯船で温まる、腹部を温めるなど、体をゆるめる習慣も役立つことがあります。冷えは緊張につながりやすく、緊張は胃の動きに影響します。

軽い運動と、睡眠リズムの安定

ウォーキング程度の軽い運動や、規則正しい睡眠は、自律神経の安定に役立つと考えられています。睡眠リズムの乱れは、自律神経の乱れに直結します。

やり過ぎ注意

胃を強く押したり揉んだりするセルフマッサージは、かえって刺激になることがあるため避けてください。「早く効かせたい」という気持ちから強く押してしまう方がいますが、機能性ディスペプシアの背景には知覚過敏があることを思い出してください。感度が上がっている胃を強く刺激するのは逆効果になりかねません。やさしく、ゆっくり、が原則です。

これらのケアを試しても症状が改善しない・悪化する場合や、次にお伝えする危険サインが出た場合は、セルフケアを続けるより先に医療機関を受診してください。

まず確認したい——医療機関を受診すべき危険サイン

胃の症状は、機能性ディスペプシアのような機能的な不調だけでなく、胃潰瘍・胃がん・膵臓や胆道の病気など、医療機関での治療が必要な病気が背景にあることもあります。次のようなサインがある場合は、整体・鍼灸を検討する前に、まず消化器内科などの医療機関(急を要する場合は救急)を受診してください。

  • 黒いタール状の便が出る、または吐血・血便がある
  • 飲み込みにくさ(食べ物がつかえる感じ)が続く、進行している
  • 特別なダイエットをしていないのに体重が急に減っている
  • 食欲が全くなくなり、食事がほとんど摂れない状態が続く
  • 強い痛みが突然起きた、安静にしていても痛む、夜中に痛みで目が覚める
  • 発熱や黄疸(皮膚・白目が黄色くなる)を伴う
  • 貧血を指摘された、立ちくらみやだるさが強い

これらは機能性ディスペプシアではなく、別の病気のサインである可能性があります。特に一度も胃カメラなどの検査を受けていない方は、自己判断で「たぶん機能性のものだろう」と決めつけず、まず医療機関で器質的な病気がないことを確認してください。ネイチャーボディ鍼灸整体院でも初回のカウンセリングで検査歴を必ずうかがい、必要と考えられる場合は受診をおすすめしています。

つらい胃の不調を、一人で抱え込まないでください

「異常なし」と言われても、症状があるあなたが一番よくわかっているはずです。体の不調には理由があります。

もう一度、順番を整理します。まず胃カメラとピロリ菌の検査を受け、萎縮性胃炎や腸上皮化生といった車線Aの病気がないことを確認する。そのうえで、検査では説明がつかない不調が残る——そこからが、整体・鍼灸の出番です。医療と整体・鍼灸は対立するものではありません。病院は病理(組織の異常)を、整体・鍼灸は機能障害(動き・働きの不調)を診るという、役割の違う補完の関係です。医師の治療を自己判断でやめることはせず、この順番を守っていただくのが、あなたの体にとって最も安全です。

ネイチャーボディ鍼灸整体院では、逆流性食道炎・慢性胃炎・自律神経の不調など、胃腸や自律神経に関わるご相談も多くいただいています。胃を包む膜の状態、横隔膜、背中の張り、姿勢、呼吸、自律神経の傾向まで、体全体の機能面から確認し、整体と鍼灸で「体が本来の働きを取り戻しやすい状態」に整えることを目的にしています。「自分の場合はどうだろう」と気になる点があれば、まずはお気軽にご相談ください。あなたの状況をうかがいながら、医療に委ねるべきか、機能面からサポートできるかを、一緒に整理していきます。詳しい情報やご予約は、公式LINEや慢性胃炎・機能性ディスペプシアの症状ページからご案内しています。

この記事を書いた人

呼吸と体の動きを確認する

山﨑由浩/ネイチャーボディ鍼灸整体院 代表。はり師・きゅう師(国家資格)。臨床歴21年・延べ16万回の施術・開業14年。日本と中国で東洋医学を21年実践してきました。

現在は、フランスの専門学校で国際基準の徒手療法であるオステオパシーの課程を学んでいる在学中の段階です。国際ライセンス(D.O.)はまだ取得しておらず、取得を目指して学び続けているところです。

なぜ21年臨床をやってきた今も、わざわざフランスまで学びに行くのか。それは、日本の徒手療法がまだ国際基準に追いついていないと感じているからであり、検査で異常が出ないまま行き場をなくしている方が、日本にあまりにも多いからです。臨床に立ち続けるなら、学び続けるのはマストだと考えています。この「学び続ける」姿勢は、この記事で機能性ディスペプシアの機序を最新の研究まで追いかけた姿勢と、同じ根っこにあります。胃の不調を「気のせい」で終わらせず、機能の問題として一緒に整理していく——それが私の仕事だと思っています。

参考文献

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  • taVNS for functional dyspepsia. Complement Ther Med. 2025. PMID: 40967422


よくある質問(Q&A)

Q. 機能性ディスペプシアの整体・鍼灸は、1回でも変化を感じられますか?

感じ方には個人差があり、1回で完結するものではありません。長く続いた不調ほど、体の傾向が整うのに時間がかかるのが一般的です。ネイチャーボディ鍼灸整体院では、まず初回で背中の張り・呼吸・胃を包む膜の状態などを確認し、おおよその目安をお伝えしたうえで、体の変化を見ながら間隔を調整していきます。「1回で必ず」ではなく「変化を確かめながら進める」とお考えください。

Q. 通うとしたら、どのくらいのペースが目安ですか?

やさしい手技での調整

状態によりますが、慢性的な不調では最初の数回を1〜2週間ごとに受け、落ち着いてきたら間隔を空けていく形が多いです。ネイチャーボディ鍼灸整体院では、約1か月間症状のない良い状態を保てることを一つの区切りにしています。その後は運動やセルフケアが中心になり、ご希望に応じて1〜2か月に1回程度のメンテナンスを取り入れる方もいらっしゃいます。無理に通院を勧めることはありません。

Q. 病院で処方された胃薬は、整体に通い始めたらやめてもいいですか?

自己判断でやめないでください。薬の継続・中止は、処方した医師が判断することです。整体・鍼灸は薬の代わりではなく、胃の動きや自律神経といった機能面をサポートする別の選択肢であり、服薬内容への効果を約束するものではありません。薬について疑問があるときは、必ず処方医にご相談ください。医療と整体は、役割の違う補完の関係です。

Q. まだ胃カメラを受けていませんが、整体・鍼灸に行ってもいいですか?

まずは消化器内科などで胃カメラとピロリ菌の検査を受け、器質的な病気がないことを確認されることをおすすめします。胃の症状には整体・鍼灸の対象ではない病気(胃潰瘍・胃がん・萎縮性胃炎など)が隠れていることもあるためです。検査で「異常なし」を確認しておくと、その後のサポートも安心して受けられます。ネイチャーボディ鍼灸整体院でも初回に検査歴をうかがい、必要と考えられる場合は受診をおすすめしています。

Q. 「ストレスが原因」と言われました。整体・鍼灸で何ができますか?

ストレスそのものを消すことはできませんが、ストレスで緊張しがちな体の状態(背中の張り・呼吸の浅さ・横隔膜の硬さ・自律神経の偏りなど)を確認し、リラックスしやすい状態に整えることを目的にサポートできる場合があります。胃腸の動きは自律神経が調整しているため、体がゆるむことが胃の状態に良い影響を及ぼすことがあると考えられます。ただし断定はできず、生活習慣の見直しと合わせて取り組むことが大切です。

Q. マッサージ店でお腹をほぐしてもらうのと、何が違いますか?

施術前の触診

目的が異なります。リラクゼーション目的でお腹をほぐすことにも心地よさという意味はありますが、ネイチャーボディ鍼灸整体院では、症状の出ている胃だけでなく、それに関わる横隔膜・背中・姿勢・呼吸・自律神経の傾向まで含めて確認し、体全体の機能面から整えることを目的にしています。また、機能性ディスペプシアには知覚過敏が関わることがあるため、胃そのものを強く押す施術は行わず、やさしいアプローチを基本にしています。

Q. 男性でも相談できますか? 会食や飲み会が多い仕事です。

もちろんご相談いただけます。会食・外食が多い営業職や管理職の方で、食後の胃もたれ・げっぷ・胸のつかえが仕事に影響し始めている、という方は多くいらっしゃいます。機能性ディスペプシアは女性にやや多い傾向がありますが、男性の有病率も7%前後と報告されており、決して珍しくありません。食べる量やタイミングを気にせず会食に集中したい、という目標に向けて、生活習慣の調整と機能面のサポートを一緒に考えます。

Q. 更年期の時期と重なっています。関係はありますか?

更年期前後は自律神経のバランスが揺らぎやすい時期で、胃の不調と一緒に語られることがあります。ただ「更年期だから様子見」で終わらせず、背中の張り・呼吸・胃を包む膜の状態といった機能面を確認していくことには意味があると考えています。機能性ディスペプシアは女性に多い傾向が研究でも報告されています。ホルモンの変化そのものは医療の領域ですが、体の緊張やこわばりといった機能面は、整体・鍼灸でサポートできる場面があります。

Q. 症状を繰り返さないために、日常で気をつけることはありますか?

生活習慣の安定が土台になります。腹八分目・よく噛む・寝る直前の食事を避ける・睡眠リズムを整える・軽い運動を続ける・ゆっくりした腹式呼吸を習慣にする、といった基本が、胃腸と自律神経の負担を減らすうえで役立つと考えられています。症状が落ち着いた後も、体の使い方の癖や背中の張りが再び蓄積することがあるため、定期的に体の状態を確認するメンテナンスを取り入れる方もいらっしゃいます。無理なく続けられる形を一緒に考えます。

Q. 逆流性食道炎や自律神経失調症とも診断されています。まとめて相談できますか?

はい、まとめてご相談いただけます。むしろ、逆流性食道炎・機能性ディスペプシア・自律神経の不調は、横隔膜の硬さや背中の張り、自律神経の偏りといった共通の背景でつながっていることが少なくありません。私は胃と食道が主な原因となって迷走神経を介して自律神経が乱れ、睡眠の質まで落ちている、という状態の方によくお会いします。症状ごとにバラバラに我慢するのではなく、体全体のつながりとして一緒に整理していくほうが、道筋が見えやすいことが多いです。

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