「検査は異常なし」なのに、胃の不調だけが続くあなたへ
胃もたれ、食後の張り、みぞおちの痛み、食欲がわかない、少し食べただけですぐにお腹がいっぱいになる——こうした症状が続いて胃腸科を受診したのに、胃カメラでも血液検査でも「異常はありませんね」と言われた。ピロリ菌の検査も陰性、あるいは駆除も済んでいる。それなのに不調は変わらない。処方されるのは胃薬だけで、「ストレスでしょう」「様子を見ましょう」と言われて診察が終わってしまう。
この記事を開いた方は、次のような場面に心当たりがあるのではないでしょうか。
- 夕食後、ソファで「そろそろ横になりたいけれど、横になったら気持ち悪くなりそう」と葛藤している
- 会社の飲み会で、周りが揚げ物やお酒を頼む中、自分だけ「お茶で」と言って愛想笑いしている
- 朝、通勤電車の中でみぞおちが重く、朝ごはんを抜いてきたことを少し後悔している
- 寝る前にベッドに入った瞬間、胸のあたりがムカムカして「また今日も眠りが浅そう」とため息をつく
- 病院の待合室で「今日も『異常なし』で終わるんだろうな」とスマホをいじって時間をつぶしている
こうした状態が数か月、あるいは数年と続くと、「もうこの体質と付き合っていくしかないのだろうか」「機能性ディスペプシアは一生治らない病気なのだろうか」と不安になるのは当然のことです。実際に「機能性ディスペプシア 治らない」と検索してこのページにたどり着いた方は、そうした行き詰まりを感じているのだと思います。
先に、この記事でお伝えしたい姿勢をはっきりさせておきます。機能性ディスペプシアは、命に関わるような重い病気ではないと一般に位置づけられています。一方で、症状の出方には波があり、良くなったり悪くなったりを繰り返す方が多いのも事実です。「絶対に治る」と保証することは誰にもできませんが、「一生変わらない」と決めつけてしまうのも、私は早すぎると考えています。この記事では、なぜ改善を感じにくいのか、そして胃カメラで異常が見つからない不調に対して、私が整体の現場で実際に何を診ているのかを、患者さん目線で整理していきます。
私はネイチャーボディ鍼灸整体院の山﨑由浩と申します。はり師・きゅう師の国家資格を持ち、臨床歴は21年、延べ16万回ほどの施術に携わってきました。消化器の不調は、ネイチャーボディ鍼灸整体院に相談が多い症状のひとつです。「病院で異常なしと言われた胃の不調」に、整体という選択肢がどう関われるのか。まずはそこから丁寧にお話しします。
「治らない」と感じてしまう、本当の理由

なぜ、機能性ディスペプシアは「治らない病気」だと感じられてしまうのでしょうか。ここを掘り下げることが、この記事の出発点です。
理由を3段階で掘っていきます。
第1段階——「異常がない=治すものがない」というすれ違い。 胃カメラで炎症も潰瘍も見つからない。血液検査も正常。ピロリ菌もいない。医学的に「壊れているところ」が無いということは、裏を返せば「切ったり縫ったり除菌したりする対象が無い」ということです。医療機関で行われる治療は、基本的にこの「壊れているところ」を対象にします。ところが機能性ディスペプシアは、壊れているところが無いのに症状だけが続く状態です。だから病院では胃酸を抑える薬や胃の動きを整える薬を出して「様子を見ましょう」となりやすい。これは医師が手を抜いているのではなく、薬という道具の得意分野の外側に問題があるからです。
第2段階——なぜ薬の外側にあるのか。 ここには、あまり知られていない事情があります。実は「胃炎」と言われた方も同じ状況に陥りやすいのですが、胃の検査で見える炎症の程度と、実際に感じる症状は、必ずしも対応しないのです。2015年に発表された京都グローバルコンセンサスという国際的な合意文書は、まさにこの点を主題のひとつに掲げ、ピロリ菌による胃炎に伴う症状と、機能性ディスペプシアとを臨床的に区別するという枠組みを示しました。つまり国際的な標準では、「胃炎があるから症状が出ている」とは限らない、という考え方が主流になっています。胃と食道・十二指腸の粘膜の炎症と、実際に感じる不快感が対応しないことは、1989年の研究でも古くから指摘されてきました。だから「除菌したのに症状が残る」「胃炎と言われて薬を飲んでも良くならない」という方が、構造的に生まれてしまうのです。
第3段階——では何が症状を作っているのか。 ここが本題です。機能性ディスペプシアは、一般に次のような要素が複数からみ合って起きていると考えられています。
- 胃の運動機能の乱れ:食べ物を胃にためて、少しずつ十二指腸へ送り出す。この胃の動きがうまくいかないと、もたれや「少し食べただけで満腹になる」早期満腹感につながります。
- 胃や腸の知覚過敏:通常なら感じない程度の胃の張りや酸の刺激を、痛みや不快感として強く感じやすくなっている状態です。
- 自律神経の調整の乱れ:胃腸の動きは自律神経がコントロールしています。この調整がうまくいかないと、動きも感じ方も乱れます。
- 食生活・睡眠・生活リズム:早食い、脂っこい食事、就寝直前の食事、睡眠不足などが症状を強めます。
この4つに共通しているのは、どれも「胃という臓器そのものが壊れている」話ではなく、「胃の働き方・感じ方が乱れている」話だということです。壊れているものは戻せませんが、働き方は変えられる余地があります。ここに、整体という手当てが関われる入口があります。
「治らない」と感じるのは、多くの場合「壊れていないのに壊れたものと同じ扱いを受けてきたから」です。壊れていないなら、まだ試していないことがある、というのが私の立場です。
「病理」と「機能障害」を分けて考える——院長が診ている枠組み
ここからは、私が整体の現場で機能性ディスペプシアと言われた方の身体を診るとき、実際に何を確認しているのかをお話しします。あくまで私の臨床上の見方であり、医学的な因果を断定するものではありませんが、「検査で異常がない」段階の不調を考えるうえで役立つ着眼点だと思っています。
私は身体の不調を、「病理」と「機能障害」の2つに分けて捉えています。
病理とは、組織そのものが傷ついたり壊れたりしている状態です。胃潰瘍、胃がん、萎縮性胃炎、腸上皮化生などがこれにあたり、胃カメラや組織検査で確認できます。ここは完全に医療の領域で、整体が代わりを務めることはできません。
機能障害とは、組織は壊れていないのに、本来の動きや働きが十分にできていない状態です。関節の動きが悪い、筋肉がうまく働いていない、身体のバランスが崩れている——こうした状態では、検査で「異常なし」と言われても、痛みや違和感が続くことがあります。
機能性ディスペプシアは、まさに検査で「壊れているところは見つからない」のに症状が続く状態です。この枠組みで言えば、胃が構造的に壊れているのではなく、「胃が本来の働きをしにくくなっている」機能障害の側面に着目する余地がある、と私は考えています。検査で異常がないからといって、身体に何も起きていないわけではない。この前提に立つことが、私の整体の出発点です。
整体という言葉から「骨をバキバキ鳴らすもの」を想像する方も多いのですが、ネイチャーボディ鍼灸整体院では強く押したり鳴らしたりする施術はしません。内臓や膜、背骨まわりの動きに、やさしく手で働きかけていく整体です。この考え方は、私がいまフランスの専門学校で学んでいるオステオパシー(内臓や関節の動き、身体を一つのつながりとして捉える国際基準の徒手療法)の視点とも重なっています。
山崎由浩院長が臨床で確認しているポイント
では、実際に身体のどこを、どんな順番で診ているのか。私が消化器の不調で相談に来られた方に対して確認している具体的なポイントを挙げます。
まず、お腹まわりと背中の張りを触れて確認します。 胃は体表からも位置がわかりやすく、胃を包んでいる膜(ファシア=内臓や筋肉を包んでいる膜組織)の状態を触れて確かめることができます。臨床では、この胃を取り巻く膜が固くなって、萎縮しているように感じられる方がとても多い、というのが私の実感です。「胃薬を飲んでいるのに、みぞおちが板のように硬い」という方は珍しくありません。
次に、背中の上部から中部の硬さを診ます。 私は動画でも繰り返しお伝えしているのですが、背中の張り・硬さが不調の背景にあることが本当に多いのです。胃の働きをコントロールする自律神経は、背骨(胸椎)のあたりから出ています。だから背中の上部から中部が硬くなると、呼吸が浅くなり、胸やみぞおちの前面までこわばりが広がっていきます。
実際に、消化器の不調で来られた方の身体を診ていくと、背骨や横隔膜(呼吸に関わる筋肉で、胃のちょうど上に位置する)に問題があり、肋骨や胸骨の中の胸郭から首にかけて強い緊張が見られることがほとんどです。多くの場合、食道と胃が起点となって迷走神経(内臓を支配する自律神経)を介して自律神経全体が乱れ、睡眠の質まで落ちているような状態です。「胃だけの問題」で来られたはずが、診てみると呼吸・首・睡眠まで一続きになっている——これが現場でよく出会う姿です。
そして、胃だけでなく、隣り合う構造を診ます。 具体的には、胃の上面にある横隔膜、側面にある肝臓とそれを包む膜、胃の裏側にある太陽神経叢(たいようしんけいそう=腹部の自律神経が集まる場所)、そして背骨(胸椎から胸腰の移行部)や肋骨です。触れて確認したこれらのエリアに硬さや動きの悪さがあれば、そこにやさしく整体で働きかけていきます。
なぜ、胃が悪いのに胃だけを診ないのか。それは、症状の出ている場所は”結果”であって、その背景に別の要因が関わっていることが少なくないからです。ネイチャーボディ鍼灸整体院の症状ページに、こんな声を寄せてくださった方がいます。膝の痛みで来院されたのですが、初回に私が左肩を触れて「胃や食道は悪かったりしますか?」とお聞きしたら、5年間ずっと胃炎と逆流性食道炎に悩んでいた、と。膝の痛みは背中から来ていて、背中の張りは胃や食道から来ていた。両方を整体で調整したところ、膝も胃も落ち着いていきました。身体は色々なところでつながっている、という一例です(効果には個人差があります)。
私は施術のタイプによって、体質による傾向も見ています。年齢を重ねると、内臓の使いすぎやストレス、膜の緊張が身体の前面から不調を引っ張ることが増えます。消化器がもともと敏感な方、ストレスをためやすい方では、強い刺激ではなく、内臓と自律神経にやさしく働きかける整体のほうが合うことが多い、というのも私が現場で感じていることです。
なぜ「ストレスですね」で終わってしまうのか
「ストレスですね」と言われて、それ以上の手立てがないまま診察が終わった経験のある方は、本当に多いと思います。ネイチャーボディ鍼灸整体院にも「ストレスが多いから仕方がない、と半ば諦めていました」という方が来られますが、施術を進めるうちに胃の痛みが落ち着き、「ストレスと言われていましたが、良くなったのでどうやら違ったようです」と話してくださった方もいます(効果には個人差があります)。
私は、ストレスや自律神経の関与を否定しません。むしろ大きく関わっていると考えています。ただ、それを本人の「気の持ちよう」「性格」「メンタルの弱さ」に帰結させてしまうと、手立てが見えなくなってしまう。ここが問題です。
私はストレスの影響を、身体に現れている状態として捉え直します。呼吸の浅さ、背中や胸の前面のこわばり、内臓を包む膜の硬さ——これらは触れて確認でき、手で働きかけることができます。身体の側からこわばりをゆるめ、呼吸や姿勢を整えていくことで、自律神経が働きやすい環境を後押しする。これが私の整体の考え方です。心の在り方を責めるのではなく、身体から整える選択肢がある、ということです。
この領域について、研究のほうもここ数年で状況が変わってきました。機能性ディスペプシアに対する鍼灸は、実は消化器の中でもエビデンスが良い部類に入ります。2026年に発表された23試験・2,454名を集めたメタアナリシス(複数の質の高い研究をまとめて解析したもの)では、経穴(ツボ)を外した”偽の鍼”と比べても症状と生活の質が改善したと報告されており、エビデンスの確実性は”中〜高”と評価されています。胃の動きをよくする薬(イトプリドやモサプリドなど)と比べた場合でも、生活の質の改善が報告されました。有害事象の増加も認められていません。
興味深いのは、この同じ研究チームが2014年に発表した時点では、「有効かどうか不明」「エビデンスは低い」とされていたことです。それが12年で試験の数が3倍以上に増え、評価が変わりました。医学の評価は動くのです。機能性の胃腸の不調全体(61試験)を見た2021年の研究でも、鍼灸は薬物療法に約1割上乗せする効果が報告され、有害事象はむしろ少ないとされています。近年は、耳のツボへの刺激(経皮的耳介迷走神経刺激)が自律神経の経路を介して働くという別ルートからの研究も進んでおり、「胃の不調と自律神経」というつながりが、いろいろな角度から裏づけられてきています。
ツボが効くしくみは、私は「筋肉のこわばりの反応点であり、血流を促す点」として機能的に捉えています。鍼灸はネイチャーボディ鍼灸整体院でも整体と組み合わせて使うことがありますが、これも身体の機能に働きかける手段のひとつです。ここで大切なのは、これらの研究は「治る」を保証しているのではなく、「改善が報告されている」という水準だということです。そこは正直にお伝えしておきます。
なぜ、他ではよくならなかったのか

「病院に行っても異常なし。胃薬をもらったけれど、飲んでいる間は少し楽で、やめると戻る。マッサージに行っても一時的。ネットで調べても情報がバラバラ」——ここまで来て、この記事にたどり着いた方も多いと思います。なぜ、これまでよくならなかったのか。
ひとつは、先にお話しした通り、「壊れていないもの」を病院の枠組みだけで扱おうとしていたからです。薬は炎症を抑えたり胃酸を抑えたりするのは得意ですが、胃の動きそのもの、自律神経のバランス、背中や横隔膜のこわばりといった機能的な部分には届きにくい。だから薬を飲んでいる間だけ楽で、やめると戻る、という状態になりやすいのです。
もうひとつ、これは私が整体・鍼灸の業界に21年身を置いてきて、はっきりお伝えしたいことです。内臓を適切に扱える徒手療法の施術者が、日本にはとても少ない。 胃や横隔膜、内臓を包む膜にやさしく手で働きかける技術は、骨格を整える技術とは別の専門性が必要です。だから「胃の不調で整体に行っても、結局背中や肩を揉まれて終わり」で、どこに行けばいいか分からず彷徨っている方が非常に多い。これは患者さんのせいではなく、受け皿の問題です。
そして、あえて厳しいことを書きます。私は、施術者は臨床に立ち続ける限り、最後まで勉強し続けるべきだと考えています。日本では、検査で異常なしと言われた不調を抱えた方が、適切なケアにたどり着けないまま放置されている現実があります。その背景には、学び続けることをやめてしまった施術者が少なくないという問題があると、私は感じています。だから私は、21年やってきた今も、わざわざフランスの専門学校まで国際基準の徒手療法(オステオパシー)を学びに行っています。日本の徒手療法は、正直なところ国際基準にまだ追いついていない部分があります。臨床に立ち続けるなら、学び続けるのはマストなのです。
もうひとつ、施術者を選ぶうえで知っておいていただきたいことがあります。日本には、オステオパシーやカイロプラクティックの法的な国家資格制度がありません。つまり、学校に通っていなくても名乗れてしまうのが実情です。だからこそ、施術者を選ぶときは、どこで・どれだけ学んだのかを確認していただきたいと思っています。私の場合は、はり師・きゅう師という日本の国家資格が土台にあり、その上に臨床21年・16万回の経験を積み、いまフランスの専門学校で国際基準の課程を学んでいる最中です(国際ライセンスは取得を目指して学び続けている段階で、まだ取得はしていません)。これは他院を批判する話ではなく、あなたが自分で見極めるための軸として受け取っていただければと思います。
自宅でできる、無理のない対処
整体と並行して、ご自宅で続けられる工夫も、症状の波を整えるうえで役立ちます。いずれも身体にやさしく、負担の少ないものを選びました。ただし、痛みが強く出るときや気分が悪くなるときは中止してください。
一度に食べる量を減らし、回数で分ける。 胃に一度に大きな負担をかけないよう、腹八分目を意識し、必要なら食事を小分けにします。「少し食べただけで満腹になる」早期満腹感がある方には、特に取り入れやすい工夫です。
よく噛んでゆっくり食べる。 早食いは胃の負担と張りにつながります。一口ごとに箸を置くくらいのつもりで、時間をかけて食べてみてください。
就寝直前の食事を避ける。 寝る前2〜3時間は食べ物を入れないようにすると、夜間の胃の負担やもたれが軽くなりやすくなります。
脂っこいもの・刺激物・アルコール・カフェインを控えめに。 症状が強い時期だけでも量を見直すと、体調の変化を確認しやすくなります。
背中と胸をゆるめる深い呼吸。 椅子に浅く腰かけ、鼻からゆっくり息を吸って胸とお腹をふくらませ、口から長く吐きます。吐くときに肩と背中の力を抜くイメージで、1日数回、無理のない範囲で行います。私が現場で見ている「呼吸が浅く、背中の上部が硬い」状態を、自分でゆるめる助けになります。息を吐くときに横隔膜が動くと、そのすぐ下にある胃にもやさしい刺激が伝わります。
軽い運動と睡眠リズム。 ウォーキングなどの軽い運動と、起床・就寝時刻をなるべく一定に保つことは、自律神経が働きやすい生活リズムを支えます。私も、運動習慣が身体のコンディション維持に役立つと考えています。
注意したいのは、「良かれと思って」やり過ぎないことです。極端な食事制限や、痛みを我慢しての運動は逆効果になりかねません。あくまで身体の様子を見ながら、続けられる範囲で取り入れてください。セルフケアで数週間試しても変化がない、あるいは悪化する場合は、次のステップとして専門家に相談する目安と考えてください。
まず確認したい、医療機関を受診すべきサイン
ここまで整体でできることをお話ししてきましたが、その前に必ず確認していただきたいことがあります。機能性ディスペプシアという診断は、他の病気が検査で否定されて初めて成り立つものです。次のようなサインがある場合は、整体や鍼灸より先に、消化器内科・内科などの医療機関を受診してください。強い症状のときは救急も考えてください。
- 体重が意図せず急激に減っている
- 黒いタール状の便が出る、便や吐いたものに血が混じる
- 食べ物や水分を飲み込みにくい、つかえる感じが強くなってきた
- 貧血を指摘された、または立ちくらみ・息切れが続く
- 夜間や空腹時に強く痛む、安静にしていても治まらない痛みがある
- 発熱を伴う腹痛、みぞおちから背中に突き抜けるような激しい痛み
- 50歳以降で新たに始まった胃の症状、または家族に胃がんの既往がある
これらは胃潰瘍、胃がんや食道の病気、膵臓・胆のうの病気などで見られることがあるサインです。まだ胃カメラなどの検査を受けていない方は、自己判断で「機能性のものだ」と決めず、まず医療機関で確認してください。萎縮性胃炎や腸上皮化生は胃がんのリスク因子ですので、これらを指摘された方は内視鏡での経過観察を続けてください。医療機関での検査と診断は、安心して身体のケアに取り組むための土台になります。
整体でできる範囲と、医療に委ねること
最後に、正直にお伝えしておきたいことがあります。整体や鍼灸は、機能性ディスペプシアを「治す」ものでも、薬の代わりになるものでもありません。まだ検査を受けていない胃の不調に、隠れた病気がないかを確認するのは医療機関の役割です。
そのうえで、検査で構造的な異常が否定され、それでも胃の働きにくさや背中のこわばり、姿勢や自律神経に関わる不調が続いている——という機能的な領域には、整体という選択肢が加わる余地があります。ネイチャーボディ鍼灸整体院では、胃を包む膜や背中の張り、横隔膜や太陽神経叢、身体全体のバランスを確認し、その方の身体の状態に合わせて調整していきます。バキバキと鳴らすような強い刺激ではなく、身体にやさしい整体を基本とし、必要に応じて鍼灸も組み合わせ、食事やセルフケアの助言も合わせて行います。
順序だけは守ってください。まず胃カメラとピロリ菌の検査を受ける。そこは医療の領域です。そのうえで、検査では説明がつかない不調が残るなら——そこからが、整体の出番です。
変化の感じ方には個人差があり、すべての方に同じ結果を約束できるものではありません。だからこそネイチャーボディ鍼灸整体院では、医療機関での診断や対応を否定せず、「医師が扱う病理の領域は医療に委ね、検査で捉えにくい機能的な領域を手当てで補う」という補完の立場を大切にしています。機能性ディスペプシアは「一生変わらない」と決めつける必要はありません。壊れていないなら、まだ試せることがある。行き詰まりを感じている方は、選択肢の一つとして相談していただければと思います。
この記事を書いた人

山﨑由浩/ネイチャーボディ鍼灸整体院 代表。はり師・きゅう師(国家資格)。臨床歴21年・延べ16万回の施術・開業14年。日本と中国で東洋医学を21年実践してきました。
現在は、フランスの専門学校で国際基準の徒手療法(オステオパシー)を学んでいる在学中の身です。国際ライセンス(D.O.)はまだ取得しておらず、取得を目指して学び続けている段階です。
なぜ21年やってきた今も、わざわざフランスまで学びに行くのか。それは、日本の徒手療法が国際基準にまだ追いついていないと感じているからです。そして、検査で異常なしと言われた不調に苦しむ方が、日本にはあまりにも多い。その受け皿になるには、臨床に立ち続ける限り学び続けるしかない、というのが私の信念です。この記事で「医学の評価は動く」とお伝えしたのも、私自身が動く評価を追いかけ続けている一人だからです。世界基準の徒手療法と、日本が世界に誇る鍼灸。その両方を、あなたの身体のために使えるよう、これからも学び続けます。
参考文献
- Li XX, et al. Efficacy and safety of acupuncture for functional dyspepsia: an updated meta-analysis of randomized controlled trials. Front Med (Lausanne). 2026. PMID: 41737400
- Lan L, et al. Acupuncture for functional dyspepsia. Cochrane Database Syst Rev. 2014. PMID: 25306866
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- Sugano K, Tack J, Kuipers EJ, et al. Kyoto global consensus report on Helicobacter pylori gastritis. Gut. 2015. PMID: 26187502
- Rugge M, Genta RM, Malfertheiner P, et al. RE.GA.IN.: the Real-world Gastritis Initiative—updating the updates. Gut. 2024. PMID: 38383142
- Lee K, et al. Global prevalence of functional dyspepsia according to Rome criteria, 1990-2020. Sci Rep. 2024. PMID: 38378941
- The clinical relevance of endoscopic and histologic inflammation of gastroduodenal mucosa in dyspepsia. Scand J Gastroenterol. 1989. PMID: 2675301
- taVNS for functional dyspepsia. Complement Ther Med. 2025. PMID: 40967422
よくある質問(Q&A)
Q. 機能性ディスペプシアの症状が落ち着くまで、どのくらいの期間がかかりますか?
個人差が非常に大きく、一律の期間はお伝えできないというのが正直な答えです。症状の出方には波があり、生活習慣やストレスの状況によっても変わります。食事や睡眠リズムを整えるといった生活面の工夫は数週間単位で体調の変化を確認しやすい一方、長く続いてきた不調ほど、身体の状態を見直すには時間がかかる傾向があります。「いつまでに良くなる」という約束ではなく、まず数週間から取り組み、変化の有無を確認しながら次を考える、という進め方が現実的です。
Q. 通院ペースの目安はどのくらいですか?

お身体の状態やライフスタイルによって異なるため、一律には決めていません。症状が強い時期はやや詰めて確認し、落ち着いてきたら間隔を空けていくのが基本的な考え方です。ネイチャーボディ鍼灸整体院では「約1か月間、症状が出ずに良い状態を保てること」を一つの区切りと考えており、その後は体調を保ちたい方に1〜3か月に1回程度のメンテナンスを取り入れていただくこともあります。ご自身の負担にならないペースを、状態を見ながら一緒に相談して決めていきます。
Q. 胃薬を飲んでいますが、整体を受けても大丈夫ですか?飲み続けてよいのでしょうか?
服薬中でも整体や鍼灸を受けていただくこと自体に問題はありません。ただし、薬を減らす・やめるといった判断は、必ず処方した医師と相談してください。整体・鍼灸は薬の代わりではなく、医師の対応を否定するものでもありません。ネイチャーボディ鍼灸整体院は「医療で扱う領域は医療に委ね、検査で捉えにくい機能的な部分を手当てで補う」立場を大切にしています。服薬状況はカウンセリングでお伝えいただけると、身体の状態を把握するうえで役立ちます。
Q. 「慢性胃炎」と言われたのですが、機能性ディスペプシアと何が違うのですか?
中身が違う2つが同じ言葉で呼ばれていることがあります。ひとつは萎縮性胃炎やピロリ菌感染など、検査で説明のつく所見がある胃炎で、これは除菌や内視鏡での経過観察という医療の領域です。もうひとつは、検査で所見が無い、あるいは軽微なのに症状が続く状態で、国際的にはこれを機能性ディスペプシアと呼びます。京都グローバルコンセンサスという国際合意でも、胃炎による症状と機能性ディスペプシアを区別すべきとされています。「慢性胃炎と言われて薬を飲んでも良くならない」という方は、後者の可能性があります。
Q. 整体で胃が良くなるというのが、そもそも信じられません。
その感覚はもっともだと思います。ただ、ネイチャーボディ鍼灸整体院が働きかけるのは胃という臓器を直接どうこうするのではなく、胃を包む膜、胃の上にある横隔膜、胃の働きをコントロールする自律神経が出ている背中(胸椎)まわりの動きです。これらのこわばりが胃の働きにくさに関わっていることが臨床では多く、そこにやさしく手で働きかけていきます。鍼灸については、機能性ディスペプシアに対する複数の研究で症状と生活の質の改善が報告されており、「効くしくみ」の研究も進んでいます。半信半疑のままで構いませんので、まず相談から始めていただければと思います。
Q. バキバキ鳴らす整体は苦手で、内臓を触られるのも不安です。

ご安心ください。ネイチャーボディ鍼灸整体院ではバキバキ・ボキボキと鳴らすような、身体に負担のかかる施術は行いません。内臓や膜へのアプローチも、強く押し込むのではなく、やさしく手を当てて動きを促す方法です。もともと消化器が敏感でストレスをためやすい方には、強い刺激はかえって合わないことが多く、弱い刺激で内臓と自律神経に働きかけるほうが良い、というのが私の臨床経験からの判断です。痛みや不快感があればその場でお伝えください。
Q. ストレスが原因だと言われました。性格を変えないと良くならないのでしょうか?
性格を変える必要はありません。ストレスや自律神経の関与は指摘されることが多いですが、それを気の持ちようだけの問題として片づけると、手立てが見えなくなってしまいます。私はストレスの影響を、呼吸の浅さや背中・胸の前面のこわばりといった、身体に現れている状態として捉え直します。身体側のこわばりをゆるめ、呼吸や姿勢を整えることで、自律神経が働きやすい環境を後押しするという考え方です。心の在り方を責めるのではなく、身体から整える選択肢がある、と考えてみてください。
Q. 年代によって気をつけることは違いますか?
傾向として、若い世代ではストレスや睡眠不足、運動不足、姿勢の崩れといった生活習慣の影響を受けやすいと考えられます。一方、50歳以降で新たに始まった胃の症状は、機能性のものと決めつけず、まず医療機関での検査を優先していただきたい年代です。家族に胃がんの既往がある方も同様です。また年齢を重ねると内臓の使いすぎや膜の緊張が身体の前面から不調を引っ張ることが増えるため、私は35歳以上の方では内臓の状態もあわせて丁寧に診るようにしています。年代を問わず言えるのは、「検査で異常がないこと」を確認したうえで機能的なケアに進む順序を守ることが安心につながる、という点です。
Q. 一度落ち着いても、また症状が戻ってしまいます。再発を防ぐ工夫はありますか?
機能性ディスペプシアは良くなったり悪くなったりを繰り返しやすい性質があり、生活リズムが乱れる時期やストレスが重なる時期に戻りやすい傾向があります。完全に再発を防ぐ方法を保証することはできませんが、腹八分目・就寝直前の食事を避ける・睡眠リズムを保つ・背中や胸をゆるめる呼吸を続ける、といった土台を崩さないことが、波を小さく保つ助けになります。忙しくなると最初に崩れるのが食事と睡眠なので、そこを意識的に守ることが再発予防の現実的な一歩です。
Q. 施術者はどう選べばいいですか?内臓を扱える整体は少ないと聞きました。
おっしゃる通り、内臓を適切に扱える徒手療法の施術者は日本ではまだ少ないのが実情です。選ぶときの一つの軸として、「どこで・どれだけ学んだのか」を確認していただくことをおすすめします。日本ではオステオパシーやカイロプラクティックに国家資格の制度が無く、学校に通っていなくても名乗れてしまうためです。国家資格(はり師・きゅう師など)の有無、臨床の年数、そして今も学び続けているかどうか。私自身は21年やってきた今もフランスで国際基準の課程を学んでいますが、これは他院を批判する話ではなく、あなたが自分で見極めるための材料として受け取っていただければと思います。







